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甲状腺手術の合併症

① 術中出血

血流が多い臓器、輸血が必要なことも

甲状腺は、正常では15-20g程度の小さな臓器ですが、とても血流が多く、単位重量当たりの血流は腎臓に匹敵するといわれています。

よって、手術に際しては出血しやすい臓器の一つと考えられています。

特に、200gを超えるような大きなバセドウ病の手術は難易度が高く、出血量があまり多い場合には、輸血を要する事態も起こりえます。

また、甲状腺腫は小さくても、とても出血しやすいバセドウ病もあり、必ずしも、大きさだけで出血リスクが決まるわけではありません。

手術中に用いる止血器具(サージカルデバイス)の発達により、以前から比べると、手術時間は短く、出血量は少なくなっていますが、輸血リスクがゼロという訳ではありません。

また、大きな良性結節も、血管網が発達しており、時に術中出血量が多くなってしまうこともあり得ます。

また、局所浸潤の強い進行がんで、大血管の浸潤を伴うケースなどの手術も、輸血を要することはあり得ます。

多くの場合には少ない出血で済みます

ただし、多くの甲状腺手術では、輸血を要するほどの術中出血をきたすことはなく、普段の採血量よりも少ない量の出血で終えることも多いです。

患者さんの信条にあわせた受け入れ態勢のある施設も

宗教上の理由で、無輸血手術を希望される(万が一の時の輸血も拒否)患者様がいらっしゃいます。

個人的には、そういったニーズにお応えして、手術を承っていた時期もありましたが、最近は、麻酔医の意向や施設として、受け入れをお断りするケースが多くなっています。

非常に輸血リスクの低い手術内容ではあっても、施設としての制約があれば、外科医として手術を引き受けることはできません。

宗教団体として、受け入れ施設のリストなどをお持ちのようですので、ご相談いただくのが良いと思います。

② 術後出血

手術中の出血(術中出血)は、経験豊富な外科医であれば、適切な術中操作で出血量をある程度の量に抑え、十分止血を確認して閉創して手術を終えます。

しかしながら、注意深い止血操作を行っても、病室に戻ったあとに、血圧の変動や、咳込んだ拍子などに、止まっていた血管の一部が破綻して、甲状腺を切除した部分に出血をきたすことがあります。

これを、術後出血と言って、1-2%程度のリスクで生じます。

術後出血は緊急対応が必須

少ない出血量で自然止血してしまうこともありますが、出血量が多い場合は、頚部は大きく腫脹し、声帯に浮腫みを生じる事態になると、呼吸困難となることがあります。

術後出血は、緊急の再手術を要する事態で、早期に適切に処置されれば事なきを得ますが、対処が遅れますと、命にかかわる深刻な事態となりえます。

100%安全な手術はないが、対処できる体制が大事

甲状腺の手術そのものが、生命にかかわる可能性はありますか?という質問を受けることがありますが、このような事象が起こりえる手術ではありますので、そのリスクはゼロではないということになります。

日本のDPC(包括医療費支払い制度)病院のデータを用いた報告で、2010-2014年に、880病院で51,967人の甲状腺手術が行われ、1,123人(2.2%)に、再手術や、気管内挿管、気管切開などの処置を要し、22人(0.05%)が死亡していると報告されています。

術後出血を100%防ぐことはできませんが、早期に発見して適切に対処できる体制が整えられていることは、甲状腺手術を安全に受けていただくためにはとても大事なことです。

③ 声帯麻痺

近接する反回神経

甲状腺のすぐ背側には、声帯を動かすための下喉頭神経(反回神経)が左右にあります。

なぜ”反回”かというと、10番目の脳神経である迷走神経、がいったん頚部を下行して胸部に向かい、血管(右は鎖骨下動脈、左は大動脈)を折れ帰り地点としてぐるりと”反回”してから頭側に上行し、喉頭の中の声帯を動かす筋肉に分布するのです。

甲状腺がんが、この反回神経に浸潤している場合を除いては、基本的にすべての甲状腺手術で、反回神経は温存することが求められます。

しかしながら、甲状腺と反回神経は非常に近接しているため、甲状腺を切除するためには、この反回神経の周囲組織を剥がす必要があります。

反回神経麻痺

とても細くて弱い神経で、丁寧に剥がして見た目にはきれいに温存されていても、5%程度では、一時的な機能不全(反回神経麻痺)に陥ってしまいます。

ただし、神経が確実に温存されていれば、この反回神経麻痺(声帯麻痺)のほとんどは、数か月以内に回復します。

切断されてしまったケースや、1年以上麻痺が回復しないケースは、永続性(回復しない)の声帯麻痺となってしまいます。

場合によっては呼吸困難となることも

左右いずれかの声帯麻痺であれば、声のカスレ=嗄声(させい)や飲水時のむせなどの症状が出ますが、呼吸の上では問題ないことが多いです。

しかし、両側の声帯麻痺が生じてしまうと事態は深刻です。

声帯は、息を吸うときに外に開いて、声を出すときに内側に閉じるのですが、両側の声帯が外に開かなくなると、呼吸困難を生じてしまうのです。

空気の通り道を確保する処置(気管切開)

左右いずれかの声帯麻痺が改善するまでの間、気管切開と言って、喉ぼとけの下あたりに、空気の通り道を確保するためのチューブの留置が必要となります。

両側の反回神経が切断されてしまうと、気管切開は一生必要になる可能性があります。

最近は、手術中に、反回神経や迷走神経に電気を流して、声帯を動かす筋肉の収縮をモニターすることで、手術中の神経の同定や神経機能の健全性を評価することが多くの施設で行われるようになってきましたが、実際の声帯麻痺の頻度を減らしているかについては、様々な意見があります。

④ 高い声がでにくい

甲状腺手術による音声機能に対する影響としては、反回神経麻痺による声帯麻痺が代表的ではありますが、さらに細い神経である、上喉頭神経外枝という神経も関与していると考えられています。

甲状腺の上極(頭側)を処理するときに損傷しやすい神経で、この神経が損傷されると、高い声が出にくくなったり、長く話し続けると疲れやすくなったりするといわれています。

非常に細い神経で、手術中に目視で確認することは難しいケースも多かったのですが、最近は、術中神経モニターの電気刺激での確認により、以前から比べて、より高い確率で、神経の同定、温存が可能になりました。

上喉頭神経外枝については、その機能評価に一つ問題点があります。

反回神経麻痺は、術前後の喉頭内視鏡検査によって、声帯運動の健全性を確認することで、麻痺の有無の評価ができるのですが、上喉頭神経外枝については、体外からの評価方法がないのです。

また、手術後には、頚部の筋肉の癒着などにより喉頭(のどぼとけ)の可動制限が生じます。

仮に、上喉頭神経外枝が温存されていたとしても、高い声を出しにくくなったり、話すことが疲れやすくなったりする症状は、比較的多く経験するのです。

これらの症状は、時間とともに改善傾向にあることが多いとはいえ、個人差も多く、長期にわたり訴え続ける方もおられます。

声楽家や歌手などの手術の際は、術前後のトップノート(発声音域の一番高い音程)を教えてもらうことにしています。

プロフェッショナルの多くが、元の音程まで回復したとおっしゃっていただいていますが、少し音程をとるのに気を遣うようになったとおっしゃられる方もおられます。

トレーニングされた方は、そもそも発声が上手なので、回復も良いのだろうと思いますが、プロフェッショナルとしての主観的な感覚も含めた音声機能をどこまで維持できているのかについては、不確実と言わざるを得ませんので、手術適応については、より一層慎重になります。

⑤ 術後甲状腺機能低下症

切除範囲で機能低下の頻度が変わります

甲状腺を切除したあとに、新しい甲状腺が再生することはありませんので、甲状腺が切除されると、甲状腺ホルモンを作り出す能力は低下します。

甲状腺が一部温存されると、残った甲状腺だけで必要なホルモン量を賄うことができることもあり、その場合は、甲状腺ホルモン剤の内服をしなくても済むことになります。

全摘出、準全摘をされた場合には、内服が必要です

甲状腺全摘や準全摘を受けた患者さんは、ほぼ100%で甲状腺機能は低下しますので、生涯にわたって、甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)を内服していくことが必要になります。

小さな甲状腺癌で甲状腺葉峡部切除に留めた場合でも、半数ぐらいの方は内服が必要にはなります。

良性腫瘍に対する片葉切除では、9割ぐらいの方が、内服なしですみます。

病気や年齢などにより、甲状腺機能低下の程度を調整します

術後の軽度の甲状腺機能低下をどこまで認容するかで、内服が必要かどうかの決定にはある程度の幅があります。

がんの術後は、甲状腺機能低下によるTSH上昇がないほうが良いとの考えもありますので、比較的軽度の甲状腺機能低下でも内服を指示することも多い一方、良性の術後であれば、ヨウ素の過剰摂取に注意を促すことで、投薬を行わないケースも多いです。

高齢者は、軽度の甲状腺機能低下に関してはむしろ望ましいとの報告もある一方、妊娠を希望される女性は、積極的に補正します。

甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)は、非常に安全性の高い薬剤で、副作用発生リスクは極めて低いです。

内服忘れでも焦らずに

また、心臓や糖尿病の治療薬と異なり、多少の飲み忘れがあっても急激な甲状腺機能異常にはつながりませんので、数週間以内の旅行に持っていくのを忘れたからといって、病院に駆け込む必要はありません。

ただし、妊娠初期の女性に関しては、胎児の発育のために、指示通りきちんと服用ください。

⑥ 術後副甲状腺機能低下症

甲状腺の近くに、米粒大の小さな臓器である副甲状腺があります。

左右に2腺ずつ合計4腺ある方が多いですが、5腺以上ある方も10%以上いるといわれています。

甲状腺全摘の術後には注意

甲状腺を全摘すると、近傍にある副甲状腺もダメージを受けたり、一緒に摘出されてしまったりします。

1つ正常の副甲状腺がダメージなく温存されれば、副甲状腺機能は維持されます。

または、摘出されてしまった副甲状腺を細かく刻んで2腺以上筋肉内に自家移植すると、90%以上の方が、副甲状腺機能は回復します。

よって、少なくとも2腺が温存される甲状腺片側切除では起こらず、甲状腺全摘術の場合にのみ起こる可能性があります。

副甲状腺機能低下でしびれなどを生じます

副甲状腺機能が低下すると、血液中のカルシウムが低下して、手足や口の周りのしびれが出現したりします。

ひどくなると、手が硬直して固まってしまったりします。カルシウムやビタミンDの投与で改善します。

経験豊富な甲状腺外科医であれば、永続性の副甲状腺機能低下症(生涯のビタミンD内服が必要)は、甲状腺全摘の10%程度に抑えるように努力はすると思いますが、進行がんなどで、リンパ節転移が多いケースなどは、副甲状腺機能温存は難しいケースも少なくありません。

機能を補うために服用が必要に

若い女性のバセドウ病の場合は、骨密度が低下していることが多く、長期にわたってカルシウムやビタミンDの補充を要することもあります。

永続性の副甲状腺機能低下症になってしまうと、生涯服用しなければならない薬は、甲状腺ホルモン剤とビタミンDの2種類になってしまいます。

カルシウムの内服はなしでコントロールできることが多いです。

ビタミンDは、先発品と後発品(ジェネリック)の金額差が大きいので、ジェネリックで処方してもらうのが良いです。

永続性の副甲状腺機能低下症になると、骨粗鬆症を心配する患者さんもいらっしゃいますが、ビタミンDを飲み続けるので、骨密度は、副甲状腺機能が温存された方よりもむしろ良かったという報告もあります。

⑦ 外側リンパ節郭清を施行すると起こりえること

鎖骨の上あたりの静脈合流部に、太いリンパ管が流入します。

そこからリンパ液が漏れると、リンパ瘻(乳び瘻)といって、白く濁った液体が、術後に留置されたドレーンという管から出てくることがあります。

量が非常に多い場合は、再手術となることもありますが、絶食や注射薬で保存的に治療することもあります。

予定された期間よりも入院期間が長くなります。

傷ついてしまう部位により様々な症状が

迷走神経が損傷されると、その末梢の反回神経も麻痺しますので、声帯麻痺がおこります。

副神経が麻痺すると、上肢の挙上障害が出現し、リハビリが必要になります。

横隔神経が損傷されると、呼吸機能が低下することがあります。

腕神経叢が損傷されると、前腕や上腕の知覚障害や運動障害を生じる可能性があります。

交感神経幹が損傷されると、眼瞼下垂が生じます。

顎下の大きなリンパ節転移の切除の際は、顔面神経も注意が必要です。

舌下神経麻痺は、舌運動障害が生じます。術直後の頚部の広範な知覚障害や浮腫は不可避です。

時間とともに軽減しますが、違和感としては、長く気になる方が多くなります。

このように起こりえる合併症を羅列すると、頚部手術は、たくさんの神経の機能温存とのせめぎ合いであることがわかります。

合併症は、治療につきものとして避けられないことも

外側リンパ節郭清に限りませんが、起こりえる合併症のリスクは、がんの進行の程度によって大きく異なりますし、がんの浸潤による合併切除が必要となる場合には、切除と機能損失のトレードとなり、不可避のこともあります。

ただし、悪性度の低いがんの場合には、機能損失を回避した術式を選択して、術後のQOLを優先するという判断が行われることがあっても必ずしも悪くはありません。

どれを避け、何を優先するのか

そのあたりの判断を、バランスよく適切に行うことができる知識と技量をもつことが、甲状腺外科医としての存在意義であるとの信念をもっています。

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